以下に低周波音の特徴を記す。
①最近の機械の高性能化、小型化に対して、しばしば、音が犠牲にされる。そのため、最新式のもののほうがうるさくなることがしばしばある。これは、低周波領域の音が、人間に聴こえる感覚が鈍いため、機械開発側は低周波音の領域で許容値をあげることが多いためだという。
②低周波音公害は長時間かけて次第にきつくなっていき、ついには耐えられないものになる(鋭敏化)
③被害は不定愁訴が主で、医療機関では対応できない。
④被害は、仕事、あるいは生活が、あまり身体を動かさずに同じ現場で長時間いるという状況で引き起こされやすい。
⑤問題解決には、被害者自身が低周波音に対する知識を身につけることが要求される。
⑥騒音と(地盤)振動は測定しても、低周波音は無視され、なおざりにされることが多い。
⑦防音壁は役にたたない。防音壁をすると一般騒音対策としては有効なため、多くの音の成分が失われ(マスキング効果がなくなり)、逆に、それを通過する低周波音がうきたつ現象がある。
⑧被害の判断の中心は現場の状況であり、現場の測定でなければならない(現場主義)
⑨実験室で得られた感覚閾値、最小可聴値を現場に適用するのは誤り。
⑩裁判で指し止めは期待しがたい、裁判に勝っても被害者は救われない。
⑪一般騒音計でも、dB(CまたはF)-dB(A)≧10~20dBだと低周波音の発生が疑われる。これは、もともとA特性では低周波音の領域の音をさし引いているのだから、そのような荷重をかけない平坦な特性を持つものとの差に着目して分析しているわけである。
⑫低周波音の荷重特性としてG特性dB(G)が規定され低周波音レベル系として市販されている。
⑬周波数分析をするのが良い。
⑭オールバス
⑮騒音公害と低周波音公害との識別表
騒音公害 低周波音公害
感覚 聞こえる 感じる、わかる、聞こえる
被害の表現 やかましい(うるさい) 苦しい(うるさい)、他
被害の実際 聴力障害(不定愁訴) 不定愁訴(不快感)、がたがた
被害の状況 戸外できつい 室内できつい
戸や窓 閉めたら楽 あけたら楽
テレビなど 楽になるとは限らぬ つけたら楽
振動感 伴わない きついと伴う
個人差 少ない 著しい
普通騒音計 測定できる 測定できない
対策(耳栓) 有効 無効?(憎悪?)
対策(遮音壁) 有効 かえって憎悪
締め切る 有効 かえって憎悪
防音室化 有効 無効(かえって憎悪?)
難易さ 対策は容易 対策はきわめて困難
経過 慣れてくることが多い 鋭敏になっていく
規制基準 あり なし
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